論点解説

ドローンのバッテリー|リチウムポリマーの特性と取扱いの注意

ドローン(無人航空機)の多くは電動機で、リチウムポリマーバッテリーが主要な動力源です。バッテリーの基礎用語(電圧・容量・充電率)、リチウムポリマーの特性、取扱いと保管のポイントを教則に沿って整理します。学科試験では安全な取扱い関連が頻出です。

バッテリーの基礎用語

用語単位求め方
電圧Vセル当たりの電圧 × セル数
出力W放電時電圧 × 電流
容量Ah電流 × 時間
エネルギー容量Wh放電時電圧 × 電流 × 時間
充電率%現時点で放電できる電気量 ÷ 満充電時に放電できる電気量

リチウムポリマーバッテリーのセル当たりの電圧は約3.7Vで、セル数と合わせて電圧が決まります。電池残量が減ると電圧は下がり、電圧降下は内部抵抗によって決まります。出力を一定に維持しようとする場合、電池残量が少なくなると放電時電圧が低下するため、必要となる電流は増大します。

根拠:教則 4.4(1)

リチウムポリマーバッテリーの特徴

リチウムポリマーバッテリーはゲル状のポリマー電解質を採用したバッテリーで、多くの無人航空機に使用されています。

  • エネルギー密度が高い
  • 電圧が高い
  • 自己放電が少ない
  • メモリ効果(継ぎ足し充電などで浅い充放電を行った場合に見かけの放電容量が減少する現象)が小さい
  • 電解質が可燃物である
満充電のリチウムポリマーバッテリーを使用し無人航空機を急上昇させた場合、直後にバッテリー残量が減った様に見えることがあります。これはバッテリーから大きな電流が流れたことで一時的な電圧低下が生じたことによるものです。

根拠:教則 4.4(2)

取扱い上の注意点

  • 充電器は満充電になると充電を停止するが、過充電となる場合がある
  • 過放電や過充電を行うと、急速に劣化が進み、寿命が短くなる
  • 過放電や過充電の状態では、通常利用時よりも多くのガスがバッテリー内部に発生し、バッテリーを膨らませる原因となる
  • バッテリーが強い衝撃を受けた場合、発火する可能性がある
  • バッテリーが短絡した場合、発火する可能性がある

根拠:教則 4.4(2)

複数セル構成のバッテリーの取扱い

セル間の充電量のバランスを補正しながら充電することが重要。バランスが著しく崩れたまま充電を行うとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり、急速に劣化が進む。

バランスコネクタがついているタイプは、充電時にそのコネクタを充電器へ接続することが重要です。

根拠:教則 4.4(2)

保管方法

リチウムポリマーバッテリーの保管における主な留意点は以下のとおりです。

  • 長期間使用しない時は充電60%を目安に保管(満充電保管や飛行後の放電状態保管は劣化が進みやすい)
  • バッテリー端子が短絡しないように細心の注意。機体コネクタとバッテリーを接続したままにしない
  • 発火しても安全を保てる不燃性のケースに入れ、突起物が当たらない状態で保管
  • 落下させるなど衝撃を与えない/水に濡らさない
  • 高温(35℃超)になる環境で保管しない

根拠:教則 4.6(2)

交換と廃棄

交換時期

リチウムポリマーバッテリーが膨らんでいる場合は、過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、早めに交換を行います。

廃棄方法

各地方自治体のルールに従って廃棄します。事業で用いたリチウムポリマーバッテリーを廃棄する場合は、法律に則り「産業廃棄物」として廃棄します。

根拠:教則 4.6(3)(4)

よくある質問

Q

リチウムポリマーバッテリーの特徴は?

ゲル状のポリマー電解質を採用したバッテリーで、エネルギー密度が高い、電圧が高い、自己放電が少ない、メモリ効果(継ぎ足し充電などで見かけの放電容量が減少する現象)が小さい、電解質が可燃物であるといった特徴があります。

Q

複数セル構成のバッテリーで注意すべきことは?

セル間の充電量のバランスを補正しながら充電することが重要です。バランスが著しく崩れたまま充電を行うとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり、急速に劣化が進みます。バランスコネクタがあるタイプは、充電時にバランスコネクタを充電器に接続することが重要です。

Q

バッテリー保管の最適な充電率は?

長期間使用しない時は充電60%を目安に保管することが推奨されます。満充電での保管や飛行後の放電状態での保管は、電池の劣化が進みやすく電池が膨らみ、使用不可になることが多いため避ける必要があります。

Q

バッテリーが膨らんだらどうすればよいですか?

早めに交換します。過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、膨らんだバッテリーは使用せず早期に交換することが重要です。

Q

事業で使ったバッテリーはどう廃棄しますか?

事業で用いたリチウムポリマーバッテリーを廃棄する場合は、法律に則り「産業廃棄物」として廃棄します。個人利用でも各地方自治体のルールに従って廃棄する必要があります。

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読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。

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出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。