論点解説
ドローンの事故発生時の対応|報告義務と重大インシデント
ドローン(無人航空機)で事故や重大インシデントが発生した場合、操縦者には必要な措置と国土交通大臣への報告義務があります。人の安全確保を第一に、定義・措置・通報先・報告対象を教則に沿って整理します。
事故を起こしたときに最初にすること
教則は、事故発生時の対応として次の3点を求めています。
- ①慌てず落ち着いて、ケガの有無やケガの程度など、人の安全確認を第一に行う
- ②機体が墜落した場合は、交通への支障やバッテリーの発火等により周囲に危険を及ぼさないよう、機体が通電している場合は電源を切るなど速やかに措置を講ずる。プロペラがまだ回転している場合は不用意に接近せず十分に注意
- ③事故の原因究明、再発防止のために飛行ログ等の記録を残す
根拠:教則 2.3
通報先
根拠:教則 2.3
航空法上の「事故」の定義
事故発生時の措置と報告義務は航空法で規定されています。教則では「事故」は次の2種類と定義されています。
a. 無人航空機による人の死傷または物件の損壊
- ・人の死傷:重傷以上を対象
- ・物件の損壊:第三者の所有物を対象、損傷の規模や損害額を問わず全ての損傷が対象
b. 航空機との衝突または接触
航空機または無人航空機のいずれかまたは両方に損傷が確認できるものを対象とします。
事故が発生した場合は、直ちに飛行を中止し、負傷者の救護・通報、警察・消防への通報など危険防止のための必要な措置を講じたうえで、発生した日時および場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければなりません。
根拠:教則 3.1.2(3)1)f.
重大インシデントの報告
事故が発生するおそれがあると認める事態(重大インシデント)が発生した場合にあっても、国土交通大臣への報告が義務付けられています。
重大インシデントの対象
- ① 飛行中の航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた事態
- ② 重傷に至らない無人航空機による人の負傷
- ③ 無人航空機の制御が不能となった事態
- ④ 無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る)
根拠:教則 3.1.2(3)1)f.
報告義務違反の扱い
事故発生時の報告をしない、または虚偽の報告を行うことは行政処分基準表に明示されており、違反時は罰則および技能証明の取消し等の行政処分の対象となる可能性があります。事故発生時に「飛行を中止し、負傷者を救護するなどの危険を防止するための措置を講じなかったとき」は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
根拠:教則 3.1.2(3)4)、3.1.2(3)5)
保険との関係
無人航空機の保険には自動車損害賠償責任保険(自賠責)のような強制保険はなく、すべて任意保険です。ただし万一の場合の金銭的負担が大きいため、保険への加入が推奨されます。なお、レベル3.5飛行にあたっては、不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していることが求められる点に注意が必要です。
根拠:教則 2.3
よくある質問
Q「無人航空機の事故」とは具体的に何を指しますか?
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教則では ①無人航空機による人の死傷(重傷以上が対象)または物件の損壊(第三者の所有物、損傷規模・損害額を問わず全て)、②航空機との衝突または接触(航空機または無人航空機のいずれか/両方に損傷が確認できるもの)、の2種類を「事故」としています。
Q重大インシデントとは何ですか?
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事故が発生するおそれがあると認める事態を「重大インシデント」といい、次が対象になります。①飛行中の航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた事態、②重傷に至らない無人航空機による人の負傷、③無人航空機の制御が不能となった事態、④無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る)。
Q事故が起きたら誰に連絡すればよいですか?
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事故の内容に応じ、警察署、消防署、その他必要な機関等へ直ちに連絡するとともに、国土交通大臣に報告する必要があります。無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時の機体の紛失、航空機との衝突・接近事案が対象です。
Q墜落した機体に触ってもよいですか?
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不用意に接近せず十分に注意する必要があります。機体が通電している場合は電源を切るなど速やかに措置を講じます。プロペラがまだ回転している場合は特に注意が必要です。
関連する問題を解いて定着させる
読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。
✏️学科試験の問題を解く関連する解説
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。