論点解説
ドローンと気象リスク管理|天気図・雲・風・前線と飛行への影響
ドローン(無人航空機)を安全に飛行させるための重要な要素の一つが気象です。天気図の読み方、雲・風・前線の基礎、高気圧と低気圧の違い、飛行への影響まで、ドローン学科試験の気象論点を教則に沿って整理します。
気象情報の重要性
航空法では「当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること」とされています。これは目視可能な距離外での飛行を禁止するだけではなく、雲中や濃霧等の気象状態では飛行させてはならないことを意味します。
根拠:教則 6.2(1)
気象情報の情報源
参考となる気象情報には以下が挙げられます。インターネットを活用した気象情報の入手も有効です。
- ・アメダス
- ・気象レーダー
- ・実況天気図、予報天気図、悪天解析図
根拠:教則 6.2(2)
天気図の基礎
天気図には、各地で観測した天気、気圧、気温、風向、風力や高気圧、低気圧、前線の位置および等圧線などが描かれています。実況天気図・予想天気図から気圧配置、前線の位置、移動速度などを確認します。

主な記号と単位
| 項目 | 表示方法 |
|---|---|
| 天気記号 | 快晴・晴・曇・雨・雪・霧などを表す |
| 風向 | 天気記号に付いた矢の向き(風が吹いてくる方向)。観測は16または36方位、予報は8方位 |
| 風力 | 矢羽根の数。気象庁風力階級表により0〜12の13段階 |
| 気温 | 天気記号の左上の数字で、摂氏の度数 |
| 気圧 | ヘクトパスカル(hPa)。標準大気圧(1気圧)は1013hPa |
根拠:教則 6.2(3)
高気圧と低気圧
高気圧
- ・周囲よりも相対的に気圧が高い
- ・閉じた等圧線で囲まれた高圧部
- ・北半球では時計回りに外へ風を吹き出す(等圧線と約30度の角度)
- ・中心部では下降気流→ 天気は良い
低気圧
- ・周囲よりも相対的に気圧が低い
- ・閉じた等圧線で囲まれた低圧部
- ・北半球では反時計回りに中心へ風が吹き込む
- ・中心部では上昇気流→ 雲が発生し天気は悪い
根拠:教則 6.2(3)
前線の種類と特徴
温度や湿度の異なる気団(空気の塊)が出会ったときの境界を前線といいます。
寒冷前線
発達した積乱雲により、突風や雷を伴い短時間で断続的に強い雨が降る。前線接近時は南〜南東よりの風、通過後は西〜北西よりの風に変わり気温が下がる。
温暖前線
層状の厚い雲が段々と広がり、近づくと気温・湿度は次第に高くなる。時に雷雨を伴うこともあるが、弱い雨が絶え間なく降る。通過後は北東の風が南寄りに変わる。
閉塞前線
寒冷前線が温暖前線に追いついた前線。閉塞が進むと次第に低気圧の勢力が弱くなる。
停滞前線
気団同士の勢力が変わらないため、ほぼ同じ位置に留まる前線。長雨をもたらす梅雨前線や秋雨前線がこれにあたる。
根拠:教則 6.2(3)10)
雲と降水
雲には10種雲形があり、発生する高度によって分類されます。
| 分類 | 雲の種類 |
|---|---|
| 上層雲 | 巻雲・巻層雲・巻積雲 |
| 中層雲 | 高層雲・乱層雲・高積雲 |
| 低層雲・下層から発達する雲 | 積雲・積乱雲・層積雲・層雲 |
根拠:教則 6.2(気象の影響)
風の基礎
- ◆風は空気の水平方向の流れで、風向と風速で表す。空気は気圧の高いほうから低いほうに向かう
- ◆風向は風が吹いてくる方向。360度を16等分し、北から時計回りに表す(北→北北東→北東→東北東→東…)
- ◆風速はメートル毎秒(m/s)。「風速」と言えば観測時の前10分間の平均風速を指す
- ◆最大風速=平均風速の最大値、最大瞬間風速=瞬間風速の最大値
- ◆風は地面の摩擦を受けるため、一般的に上空では強く地表に近づくにつれて弱くなる。地表の粗度(樹木・建物等の凸凹)が大きいほど、高さによる風速変化は大きい
根拠:教則 6.2(気象の影響)2)
特殊な風と現象
突風
低気圧が接近すると、寒冷前線付近の上昇気流により発達した積乱雲によって、強い雨や雷とともに突風が発生することがある。日本付近では天気は西から東に変わるため、西から寒冷前線を伴う低気圧が接近するときは突風の発生時間帯を予測できる。
海陸風
海と陸との気温差によって生じる局地的な風。気温差があると気圧差が生じて風が吹く。

根拠:教則 6.2(気象の影響)2)
局地的な風
地形や建物、気温差などにより、特定の場所で発生する局地的な風があります。いずれも飛行の安定性に影響するため、飛行場所の地形や周辺環境をふまえて注意します。
山谷風
山岳地帯に現れる風の一種。昼間は日射で暖められた空気が谷を這い上がる谷風が吹き、夜間は冷えた空気が山から降りる山風が吹く。
ダウンバースト/マイクロバースト
ダウンバーストは、積乱雲や積雲内に発生する強烈な下降流が地表にぶつかり、水平方向にドーナツ状に渦を巻きながら四方に広がってゆく状態。その大きさは数百mから10kmにもおよぶ。そのうち直径が4km程度以下のものをマイクロバーストと呼び、範囲は小さいが下降流はより強烈なことがある。発生時間は数分から10分程度のものが多く、通常の観測網では探知されない局地的な現象。
ビル風
高層ビルや容積の大きい建物などが数多く近接している場所やその周辺に発生する風。剥離流・吹き降ろし・逆流・谷間風・街路風などに分類され、周辺の風より風速が速く継続して吹く。建物群の配置や構成によって吹く風の種類が異なる。
根拠:教則 6.2(気象の影響)2)
季節の天気と梅雨前線
冬の天気
冬の悪い天気の代表は「雪」と「風」。シベリア高気圧が優勢になり冬の季節風の吹き出しが始まる。冬型の天気の典型は西高東低で、天気図では西側に高気圧・東側に低気圧という気圧配置となり、日本海側に雪をもたらす。
春と秋の天気
日本の天気を支配するのは冬のシベリア高気圧と夏の太平洋高気圧で、春と秋は両高気圧の勢力が入れ替わる時期。このとき日本付近に両気団の境界ができて前線が停滞し、広い範囲に悪い天気をもたらす。1週間くらい雨が降り続き、低い雲高や視程障害をもたらすことがある。
梅雨前線
四季の変わり目に出現する長雨(菜種梅雨、梅雨、秋霖など)のうち、とくに顕著な長雨・大雨をもたらす停滞前線のこと。勢力の近い気団が停滞することで長雨となる。
根拠:教則 6.2(気象の影響)
気温の影響と飛行実施の判断
無人航空機は運用可能な動作環境が具体的に明示されており、その範囲内であっても低温時や高温時には大きな影響を受けることが予想されます。特に気温が低い場合は、バッテリーの持続時間(飛行可能時間)が普段より短くなる可能性があるため注意が必要です。
地表面が暖められると上昇気流が発生するため、広い面積の太陽光パネルや、アスファルト・コンクリートの地面が多い市街地は注意が必要です。広い運動場のような場所では、強い日射による上昇気流でつむじ風が発生する可能性があります。
根拠:教則 6.2(気象に関する注意事項)/(気象状況の把握と飛行の実施の判断)
よくある質問
Q雲中や濃霧で飛行できますか?
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できません。航空法は「当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること」としており、雲中や濃霧等の気象状態では目視で確認できないため飛行させてはならないとされています。
Q等圧線の間隔は何を表しますか?
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等圧線の間隔は風の強弱を示します。等圧線の間隔が狭いほど風は強くなります。等圧線が気圧の等しい点を結んだ線です。
Q高気圧と低気圧の天気はどう違いますか?
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高気圧の中心部では下降気流が発生し一般的に天気はよい。一方、低気圧の中心部では上昇気流が起こり、雲が発生し一般的に天気は悪い。北半球では、高気圧は時計回りに等圧線と約30度の角度で中心から外へ風を吹き出し、低気圧は反時計回りに中心に向かって風が吹き込みます。
Q風速表示の「最大風速」と「最大瞬間風速」の違いは?
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平均風速の最大値を最大風速、瞬間風速の最大値を最大瞬間風速といいます。単に「風速」と言えば観測時の前10分間における平均風速を指します。
Q海陸風とは何ですか?
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海陸風は海と陸との気温差によって生じる局地的な風です。気温差があると気圧差が生じて風が吹きます。
Q山谷風とはどのような風ですか?
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山谷風は山岳地帯に現れる風の一種です。昼間は日射で暖められた空気が谷を這い上がる「谷風」が吹き、夜間は冷えた空気が山から降りる「山風」が吹きます。
Q雷鳴が聞こえるときは飛行してよいですか?
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望ましくありません。安全のため気象条件を考慮した判断をする場合、降雨時、降雪時、霧の発生時や雷鳴が聞こえる時は、飛行の延期や中止が望ましいとされています。
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関連する解説
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和8年7月7日第5版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。