論点解説
ドローンの種類と構造|マルチローター・ヘリコプター・飛行機・パワードリフト
ドローン(無人航空機)は用途や構造によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ特徴や操縦のポイントが異なります。マルチローター、ヘリコプター、飛行機、パワードリフト機の違い、25kg以上の大型機の注意点まで、学科試験で問われるポイントを教則に沿って整理します。
ドローンの主な種類
航空法上の無人航空機は、回転翼航空機(マルチローター)、回転翼航空機(ヘリコプター)、飛行機などが該当します。回転翼航空機は垂直離着陸や空中でのホバリングが可能、飛行機は長距離・長時間の飛行が可能という特徴があります。さらに両方の特徴を組み合わせたパワードリフト機(Powered-lift)もあります。
| 種類 | 垂直離着陸 | ホバリング | 長距離・長時間飛行 |
|---|---|---|---|
| マルチローター | ○ | ○ | △ |
| ヘリコプター | ○ | ○ | △ |
| 飛行機 | × | × | ○ |
| パワードリフト | ○ | ○ | ○ |
根拠:教則 4.1
飛行機
飛行機は回転翼航空機と比べ高速飛行、長時間飛行、長距離飛行が可能です。主翼に揚力を発生させて自重を支えるため、比較的少ないエネルギーで飛行できます。
- ◆安全に飛行できる最低速度が決められており、それ未満での低速飛行はできない
- ◆水平離着陸には広いエリアが必要で、高度な操縦技能と飛行制御技術が必要
- ◆故障などで推力を失っても滑空飛行状態になれば、すぐには墜落しない
- ◆ホバリングや後退、横移動はできない。横方向の移動はバンクターン(旋回)で行う
- ◆過度の低速・上昇角度・旋回半径小により失速状態に陥ることがある(舵の操作が効かなくなる極めて危険な状態)
根拠:教則 4.1
回転翼航空機(ヘリコプター)
垂直離着陸、ホバリング、低速飛行が可能ですが、これには大きなエネルギー消費がともない、風の影響を受けやすい機体です。同じ回転翼航空機でも、ヘリコプター型は1組のローターで揚力を発生させるため、マルチローターに比べローターの直径が大きく、空力的に効率良く揚力を得ることができます。メインローターの反トルクをテールローターで相殺する構造を持ちます。
根拠:教則 4.1
回転翼航空機(マルチローター)
機体外周に配置されたローターを高速回転させ、上昇・降下や前後左右移動、ホバリングや機体の水平回転を行います。
ローター数による呼称
- クワッドコプター:ローター数4
- ヘキサコプター:ローター数6
- オクトコプター:ローター数8
モーター性能を同一とした場合、ローターの数が多いほど故障に対する耐性が向上し、ペイロード(積載可能重量)も増えます。
ローターの回転方向と反トルク
ローターの回転方向は、時計回転(CW:クロックワイズ)と反時計回転(CCW:カウンタークロックワイズ)で構成され、反トルクにより機体の回転バランスを保っています。
操縦の基本動作
- ◆上昇・ホバリング・降下:全ローターの回転数を均等に制御
- ◆前後・左右移動:指示した側のローター回転数を下げ、反対側を上げて機体を傾ける
- ◆水平回転:指示した回転方向のローター回転数を下げ、反トルクバランスを崩す
操縦用語
- スロットル:上昇・降下
- ラダー:機首方向の旋回
- エルロン:左右移動
- エレベーター:前後移動
根拠:教則 4.1
大型機(最大離陸重量25kg以上)の特徴
大型機は事故発生時の影響が大きいため、操縦者の運航への習熟度および安全運航意識が十分に高いことが要求されます。マルチローターの大型機には以下の特徴があります。
- ◆機体の対角寸法・ローターのサイズ・モーターパワーも大きくなり、飛行時の慣性力も増加。上昇・降下や加減速などに要する時間と距離が長くなる
- ◆離着陸やホバリング時の地面効果等の範囲が広がり、高度な操縦技術を要する
- ◆機体から発せられる騒音も大きくなり、周囲への影響範囲も広がる
飛行機の大型機ではさらに、主翼面積が大きくペイロードを多く搭載できる、ガソリンエンジンなど推進動力の選択肢も広がる、25kg未満に比べ風の影響も受けにくいといった特徴があります。
根拠:教則 4.1
技能証明と種類の限定
技能証明では無人航空機の種類について6種類(マルチローター/ヘリコプター/飛行機 × 重量制限あり/なし)の限定が設けられています。パワードリフト機の飛行には、回転翼航空機(マルチローター)および飛行機の両方の限定に係る資格が必要です。
根拠:教則 3.1.2(5)1)。詳細は一等と二等の違い参照。
よくある質問
Qマルチローターとヘリコプターの違いは?
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どちらも回転翼航空機で垂直離着陸やホバリングが可能ですが、ヘリコプターは1組のローターで揚力を発生させるため、同じ性能のマルチローターよりローター直径が大きく、空力的に効率良く揚力を得ることができます。マルチローターは複数のローターを高速回転させて飛行します。
Qマルチローターのローターはなぜ半数ずつ逆回転しているのですか?
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プロペラからの反トルクを相殺するためです。時計回転(CW)と反時計回転(CCW)のローターを組み合わせることで、反トルクのバランスをとり機体の回転を防いでいます。
Q飛行機はホバリングできますか?
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できません。飛行機は推力によって前進し、主翼に揚力を発生させて飛行するため、ホバリングや後退、横移動はできません。横方向の移動はバンクターン(旋回)で行います。
Qパワードリフト機とは何ですか?
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回転翼航空機のように垂直離着陸が可能で、巡行中は飛行機のように前進飛行が可能な、両方の特徴を組み合わせた機体です。技能証明においては、回転翼航空機(マルチローター)および飛行機の両方の種類の限定に係る資格が必要となります。
Q25kg以上の大型機と小型機で何が違いますか?
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大型機は操縦への習熟度や安全運航意識が高く求められます。機体の慣性力が大きく、増速・減速・上昇・降下などに要する時間と距離が長くなり、障害物回避には特に注意が必要です。騒音も大きくなり、緊急着陸地点の選定も小型機より広い範囲が必要となります。
関連する問題を解いて定着させる
読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。
✏️学科試験の問題を解く関連する解説
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。