論点解説
ドローンのセンサーとフェールセーフ|地磁気・GNSS・自動帰還
ドローン(無人航空機)の安定飛行は、複数のセンサとフライトコントロールシステムが連携して支えています。地磁気センサ・GNSS・気圧センサ等の役割と、異常時に自動で安全を確保するフェールセーフ機能について、学科試験で問われる論点を教則に沿って整理します。
フライトコントロールシステムとは
フライトコントロールシステムは、搭載されている各種センサ(GNSS、ジャイロ、加速度、方位、高度等)からの情報や送信機から発信された情報を処理し、機体を制御するための信号を送るシステムです。
根拠:教則 4.4
主要なセンサーと役割
ジャイロセンサ
単位時間当たりの回転角度の変化を検出する装置。風などで機体が傾いたときに、無人航空機の傾きや向きの変化を検出してフライトコントロールシステムに情報を伝える。
加速度センサ
3次元の慣性運動(直交3軸方向の並進運動)を検出する装置で、無人航空機の速度の変化量を検出。ジャイロセンサと合わせて機体の姿勢を制御する。
IMU(Inertial Measurement Unit)
3軸のジャイロセンサと3方向の加速度センサ等によって、3次元の角速度と加速度を検出する装置。メーカーによっては気圧センサを含む場合もある。
地磁気センサ
地球の磁力を検出して方位を測定。機体が向いている方向を取得する。
高度センサ
高度計測用。気圧センサは気圧変化を歪みゲージで読み取って計測、超音波センサは音波の反射時間から計測、LiDARはレーザー光(赤外線)を照射し反射時間から計測。
根拠:教則 4.4(2)
地磁気と磁気キャリブレーション
地磁気センサは地球の磁気を検出して機体の向き(方位)や姿勢を知ることができますが、磁力線が示す北(磁北)と地図の北には偏角が生じるため、正常な方位を計測しない場合があります。
磁気に影響を与える構造物・環境
地磁気の検出には鉄や電流が影響を与えます。一般的に影響を与えるものは次のとおり。
- 高圧線、変電所、電波塔
- 鉄材を多く使用された建物
- 新幹線や電車の鉄道、自動車
- 鉄板など鉄材が多く埋め込まれた場所
根拠:教則 4.5(磁気方位)
GNSSの基礎
GPS(Global Positioning System)はアメリカ国防総省が航空機等の航法支援用として開発したシステムで、これに加え、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本の準天頂衛星QZSS等を総称してGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)と呼びます。
GNSSとRTKの精度
- ◆GPS単独測位:数十mの精度
- ◆RTK(Real Time Kinematic)/DGPS(Differential GPS):固定局と移動局の2つの受信機を使用、数cm〜数mレベルの高精度測位
GNSS測位精度に影響する要因
- GNSS衛星の時計の精度
- 捕捉している衛星の数
- 障害物などによるマルチパス
- 受信環境のノイズ
一般的に位置精度は、水平方向に比べ高度方向の誤差が大きくなります。根拠:教則 4.5(GNSS)
フェールセーフ機能
送信電波や電源容量の減少などにより飛行が継続できない場合、または継続できないことが予想される場合に、あらかじめ飛行制御アプリケーションのフェールセーフ機能が作動します。
自動帰還モード
フェールセーフ機能により離陸地点へ自動で飛行します。
自動着陸
バッテリー残量が極端に少ない場合などは、その場で自動着陸を試みます。フェールセーフ機能発動中にバッテリー残量不足等で飛行が継続できない場合、機体は着陸動作に遷移し着陸を試みます。
フェールセーフ機能発動時、機体の動作をホバリング、その地点での着陸、自動帰還などに設定できる機体もあります。
根拠:教則 5.2(緊急時の対応)
整備・点検の必要性
運航者は飛行前後だけではなく、無人航空機ごとに定められた一定の期間や一定の総飛行時間ごとに整備点検を行う必要があります。各機体メーカーが設定する整備内容を熟知し、必要なタイミングで修理等の整備を行う必要があります。
根拠:教則 4.6(1)
よくある質問
QGNSSとGPSは同じものですか?
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GPSはアメリカ国防総省が開発したシステムで、GNSSはGPSに加えロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本の準天頂衛星QZSS等を総称した用語です。GNSSは全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)の略で、最低4個以上の人工衛星から信号を同時に受信することで位置を計算できます。
QRTK測位の精度はどれくらいですか?
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GPS測位での受信機1台の単独測位の精度は数十mの精度ですが、RTK(Real Time Kinematic)やDGPS(Differential Global Positioning System)のように固定局と移動局の2つの受信機を使用する方式では、数cm〜数mレベルの精度の高い測位が可能です。
Q磁気キャリブレーションとは何ですか?
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飛行前にその場所の地磁気を検出して方位を取得し、GNSS機能やメインコントローラーに認識させることです。磁気キャリブレーションが正しく行われていないと、機体が操縦者の意図しない方向へ飛行する可能性があります。飛行させる場所により地磁気の方向は異なるため、実施が重要です。
Qフェールセーフ機能はどんな時に作動しますか?
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送信電波や電源容量の減少などにより飛行が継続できない場合、または継続できないことが予想される場合に、飛行制御アプリケーションのフェールセーフ機能により自動帰還モードに切り替わり、離陸地点へ飛行します。バッテリー残量が極端に少ない場合などはその場で自動着陸を試みます。
QGNSSの測位精度が悪くなる要因は?
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GNSS衛星の時計の精度、捕捉している衛星の数、障害物などによるマルチパス、受信環境のノイズなどが挙げられます。受信機は周囲の地形や障害物の状況を考慮して設置する必要があります。一般的に位置精度は、水平方向に比べ高度方向の誤差が大きくなります。
関連する問題を解いて定着させる
読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。
✏️学科試験の問題を解く関連する解説
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。