論点解説

ドローン操縦者の遵守事項|航空法上の義務と事故・重大インシデント報告

無人航空機の操縦者は、航空法に基づき守るべき運航ルール(遵守事項)が定められています。アルコール・薬物の影響下での飛行禁止、飛行前の確認、航空機や他の無人航空機との衝突防止、他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止、整備・改造の義務、事故等の場合の措置まで、学科試験で問われるポイントを教則に沿って整理します。

操縦者が遵守する運航ルールとは

無人航空機の操縦者には、飛行の安全を確保するため、航空法上守るべき運航ルール(遵守事項)が定められています。これらは特定飛行かどうかにかかわらず、無人航空機を飛行させる者が守るべき基本的な事項です。

主な遵守事項は、①アルコール・薬物の影響下での飛行禁止、②飛行前の確認、③航空機又は他の無人航空機との衝突防止、④他人に迷惑を及ぼす方法での飛行禁止、⑤使用者の整備及び改造の義務、⑥事故等の場合の措置の6つです。

根拠:教則 3.1.2(3)1)

a. アルコール又は薬物の影響下での飛行禁止

アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間においては、飛行させないこととされています。

ここでいう「アルコール」とはアルコール飲料やアルコールを含む食べ物を指し、「薬物」とは麻薬や覚せい剤等の規制薬物に限らず、医薬品も含みます

アルコールによる身体への影響は個人の体質やその日の体調により異なり、体内に保有するアルコールが微量であっても正常な飛行に影響を与えるおそれがあります。そのため、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず、体内にアルコールを保有する状態では飛行を行ってはなりません

根拠:教則 3.1.2(3)1)a.

b. 飛行前の確認

無人航空機が飛行に支障がないこと、その他飛行に必要な準備が整っていることを確認した後において飛行させることとされています。具体的な確認事項は次のとおりです。

(a) 外部点検及び作動点検による機体の状況の確認

各機器の取付状況(ネジ等の脱落やゆるみ等)、発動機・モーター等の異音の有無、機体(プロペラ、フレーム等)の損傷や歪みの有無、通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統等の作動状況などを確認します。

(b) 飛行させる空域及びその周囲の状況の確認

飛行空域や周囲における航空機や他の無人航空機の飛行状況、地上又は水上の人(第三者の有無)又は物件(障害物等の有無)の状況、航空法その他の法令等の必要な手続きの状況、緊急用務空域・飛行自粛要請空域の該当の有無、立入管理措置・安全確保措置等の準備状況などを確認します。

(c) 飛行に必要な気象情報の確認

天候、風速、視程など、当該無人航空機の飛行に適した天候にあるか否かを確認します。

(d) 燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認

飛行に必要な燃料の搭載量又はバッテリーの残量を確認します。

(e) リモートID機能の作動状況の確認

リモートID機能の作動状況を確認します(リモートID機能の搭載の例外となっている場合を除く)。

根拠:教則 3.1.2(3)1)b.

c. 航空機又は他の無人航空機との衝突防止

航空機や他の無人航空機との衝突を防止するため、飛行前と飛行中のそれぞれで取るべき措置が定められています。

飛行前において

航行中の航空機を確認した場合には、飛行を行わないこと。また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行います。

飛行中において

航行中の航空機を確認した場合には、地上に降下させるなど、接近又は衝突を回避するための適切な措置を取ります。また、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、安全な間隔を確保して飛行させ、接近又は衝突のおそれがあると認められる場合には地上に降下させるなど適切な措置を取るとともに、飛行日時・飛行経路・飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行います。

根拠:教則 3.1.2(3)1)c.

d. 他人に迷惑を及ぼす方法での飛行禁止

飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこととされています。

「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、人に向かって無人航空機を急接近させることなどを指します。

根拠:教則 3.1.2(3)1)d.

e. 使用者の整備及び改造の義務

登録を受けた無人航空機の使用者は、整備及び必要に応じて改造をし、当該無人航空機が安全上の問題から登録を受けることができない無人航空機とならないように維持しなければなりません。

あわせて、登録記号の機体への表示も維持しなければなりません。

根拠:教則 3.1.2(3)1)e.

f. 事故等の場合の措置及び報告

無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに飛行を中止するとともに、負傷者がいる場合はその救護・通報、状況に応じた警察への通報、火災が発生している場合の消防への通報など、危険を防止するための必要な措置を講じなければなりません。また、事故が発生した日時及び場所等の必要事項を国土交通大臣に報告しなければなりません。

報告が必要な「事故」の定義

教則では、無人航空機の「事故」を次の事態と定めています。

a. 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊

人の死傷に関しては重傷以上を対象とします。物件の損壊に関しては第三者の所有物を対象とし、その損傷の規模や損害額を問わず全ての損傷が対象となります。

b. 航空機との衝突又は接触

航空機又は無人航空機のいずれか又は両方に損傷が確認できるものを対象とします。

重大インシデントの報告

上記の事故が発生するおそれがあると認める事態(重大インシデント)が発生した場合にあっても、国土交通大臣への報告が義務付けられています。

重大インシデントの対象には、飛行中の航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めた事態、重傷に至らない無人航空機による人の負傷、無人航空機の制御が不能となった事態、無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る)が含まれます。

根拠:教則 3.1.2(3)1)f.

よくある質問

Q

少しの飲酒なら飛行させても大丈夫ですか?

いけません。アルコールによる身体への影響は個人の体質やその日の体調により異なり、体内に保有するアルコールが微量であっても正常な飛行に影響を与えるおそれがあります。教則では、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず、体内にアルコールを保有する状態では飛行を行ってはならないとされています。

Q

「薬物」には市販の医薬品も含まれますか?

含まれます。教則では「薬物」とは麻薬や覚せい剤等の規制薬物に限らず、医薬品も含むとされています。また「アルコール」はアルコール飲料だけでなく、アルコールを含む食べ物も指します。

Q

飛行前にはどんな確認が必要ですか?

外部点検及び作動点検による機体の状況の確認、飛行させる空域及びその周囲の状況の確認、飛行に必要な気象情報の確認、燃料の搭載量又はバッテリーの残量の確認、リモートID機能の作動状況の確認(搭載の例外となっている場合を除く)などが挙げられます。

Q

報告が必要な「事故」とはどのような場合ですか?

教則では、①無人航空機による人の死傷(重傷以上)又は物件の損壊(第三者の所有物で、損傷の規模や損害額を問わず全て)、②航空機との衝突又は接触(航空機又は無人航空機のいずれか又は両方に損傷が確認できるもの)を「事故」としています。事故が発生した場合は直ちに飛行を中止し、危険を防止するための必要な措置を講じ、国土交通大臣に報告しなければなりません。

Q

事故には至らなくても報告が必要な場合はありますか?

あります。事故が発生するおそれがあると認める事態(重大インシデント)が発生した場合も、国土交通大臣への報告が義務付けられています。飛行中の航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めた事態、重傷に至らない無人航空機による人の負傷、制御が不能となった事態、飛行中の機体の発火が対象です。

関連する問題を解いて定着させる

読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。

✏️学習を始める
みんなの累計回答数
0

関連する解説

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。