論点解説

ドローンの特定飛行とは|規制対象になる空域・飛行方法と航空法上の手続き

「特定飛行」はドローン(無人航空機)の航空法規制を理解するうえで最重要の概念です。航空法が定める特定の空域または飛行方法に該当する飛行を指し、カテゴリー分類・技能証明・飛行の手続きなど多くの制度がこの用語を出発点に組み立てられています。ドローン学科試験の頻出論点でもあるため、本記事では特定飛行の定義と構成、必要な手続きまでを教則に沿って整理します。

特定飛行の定義

航空法は、無人航空機の飛行において確保すべき安全として、①航空機の航行の安全、②地上または水上の人または物件の安全の2つを掲げており、これらに危害を及ぼすおそれがある飛行の空域と方法を規制対象としています。

規制対象となる空域または飛行の方法のいずれかに該当する飛行を「特定飛行」といい、原則として禁止されています(教則 3.1.2(2)2))。

規制対象となる4つの空域

航空機の航行の安全または地上の人・家屋の密集地への影響を踏まえ、次の空域での飛行は規制されます。

A

空港等の周辺の上空の空域

空港・ヘリポート周辺の進入表面・転移表面・水平表面等の上空

B

緊急用務空域

消防・救助・警察業務その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保する必要がある空域

C

地表または水面から150メートル以上の高さの空域

無人航空機が飛行している直下の地表・水面からの高度差が150m以上の空域

D

人口集中地区(DID)の上空

国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空

規制対象となる6つの飛行の方法

次の方法による飛行も特定飛行に該当します。

  1. 1

    夜間飛行

    日没後から日出までの間の飛行。日時は国立天文台が発表する時刻を基準とする

  2. 2

    目視外飛行

    操縦者が自分の目で常時監視しない飛行。双眼鏡・モニター・補助者の監視は「目視」に含まれない(眼鏡・コンタクトは含む)

  3. 3

    人または物件との距離30メートル未満での飛行

    第三者または第三者の物件との直線距離を30m以上確保しない飛行

  4. 4

    催し場所上空での飛行

    祭礼、縁日、展示会、プロスポーツの試合、花火大会など多数の者が集合する催しの上空

  5. 5

    危険物の輸送

    爆発物など危険物を輸送する飛行

  6. 6

    物件の投下

    無人航空機からの物件の投下

根拠:教則 3.1.2(2)2)。規制対象外の「昼間(日中)」とは日の出から日の入りまでを指します。

特定飛行とカテゴリー分類の関係

無人航空機の飛行形態は、特定飛行に該当するかどうか、および立入管理措置(第三者の立入りを管理する措置)を講じるかどうかにより3つに分類されます。

カテゴリーⅠ飛行

特定飛行に該当しない飛行。航空法上は特段の手続き不要。

カテゴリーⅡ飛行

特定飛行のうち、立入管理措置を講じて行うもの。

カテゴリーⅢ飛行

特定飛行のうち立入管理措置を講じないもの、すなわち第三者上空における特定飛行。最もリスクが高い。

根拠:教則 3.1.2(2)3)。詳しくはカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲ飛行の違いの記事を参照してください。

特定飛行に必要な手続き等

特定飛行を行う場合、そのリスクに応じた手続きと運航ルールの遵守が求められます。

  • 飛行計画の通報:あらかじめ飛行経路・日時等の情報を国のシステムに通報する必要があります。
  • 飛行日誌の携行・記載:飛行日誌を携行し、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を遅滞なく記載する義務があります。
  • 技能証明書の携帯:技能証明を受けた者が特定飛行を行う場合、技能証明書を携帯しなければなりません。
  • 飛行マニュアル等の遵守:カテゴリーⅡB飛行では飛行マニュアルを作成・遵守。カテゴリーⅡA・Ⅲでは飛行の許可・承認を取得したうえで実施します。

根拠:教則 3.1.2(2)5)、3.1.2(3)。違反には技能証明の取消・停止や罰則の対象となる可能性があります。

よくある質問

Q

特定飛行に該当しない飛行でも許可は必要ですか?

特定飛行に該当しない飛行は「カテゴリーⅠ飛行」と呼ばれ、航空法上は特段の手続きなく飛行可能です。ただし機体登録・リモートIDなど特定飛行とは無関係に必要となる規制は別途遵守する必要があります。

Q

30メートル未満で飛行するとなぜ特定飛行になるのですか?

航空法は第三者または第三者の物件との距離を30メートル以上確保することを原則としており、それ未満での飛行は規制対象の飛行方法(特定飛行)となります。なお「第三者」は無人航空機を飛行させる者およびその関係者を除いた者を指し、土地や自然物(樹木、雑草等)は「物件」に該当しません。

Q

特定飛行を行うとき飛行日誌は必要ですか?

必要です。特定飛行を行う者は、飛行日誌を携行し、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を遅滞なく飛行日誌(紙または電子データ)に記載しなければなりません。

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出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。