論点解説
ドローンの運航体制とCRM|補助者の役割とチームでの安全確保
ドローン(無人航空機)の安全運航は操縦技量だけでは達成できず、補助者との連携やチームでの意思決定体制が重要になります。補助者の役割、CRM(Crew Resource Management)、TEMの考え方と5つのノンテクニカルスキルまで、教則に沿って整理します。
操縦者のパフォーマンス管理
操縦者は疲労を感じても飛行を継続してしまう傾向にあるため、適切に飛行時間を管理する必要があります。また、高いストレスを抱えている状態は安全な飛行を妨げる要因となるため、操縦者との適切なコミュニケーションを運航計画に組み込む等、ストレス軽減を図る必要があります。
根拠:教則 5.3
補助者の必要性と役割
無人航空機を飛行させる操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があり、離着陸エリアを含めた飛行経路の管理を操縦と同時に行うことが困難であるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入管理などは補助者が主として行う必要があります。
補助者の具体的な役割
- ◆離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認
- ◆飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処について手順に従い作業
- ◆操縦者とのコミュニケーションを予め決められた手段を用いて行う
- ◆危険予知の警告や緊急着陸地点への誘導
- ◆着陸後の機体回収や安全点検の補助
根拠:教則 5.4(補助者)
CRM(Crew Resource Management)
事故等の防止のためには、操縦技量(テクニカルスキル)の向上は有効な対策ですが、これだけでは「人間の特性や能力の限界」(ヒューマンファクター)の観点からヒューマンエラーを完全になくすことはできません。
根拠:教則 5.4
TEM(Threat and Error Management)
CRMの効果を最大限発揮するために「TEM(Threat and Error Management)」という手法が取り入れられています。
TEMの基本概念
スレット(Threat)
エラーを誘発する要因。例:気象の変化、疲労、機材不具合など。
エラー(Error)
操縦者だけではスレットやエラーの発生状況を把握することが困難な場合があり、この場合適切な対処がとれず、無人航空機が安全マージンの低下した状態に至る。
UAS(Undesired Aircraft State)
望ましくない航空機の状態。更に事故等につながるおそれがある。
根拠:教則 5.4
CRMの5つのスキル(ノンテクニカルスキル)
TEMを効果的に実践するための能力として、次の5つのノンテクニカルスキルがあります。
- ①状況認識(Situational Awareness):周囲の状況を正確に把握する能力
- ②意思決定(Decision Making):適切なタイミングで正しい判断を下す能力
- ③ワークロード管理:負荷を適切に分配・制御する能力
- ④チームワーク:補助者や関係者と協力する能力
- ⑤コミュニケーション:明確に情報を伝達・受信する能力
根拠:教則 5.4
よくある質問
QCRMとは何の略ですか?
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Crew Resource Management の略で、全ての利用可能な人的リソース・ハードウェア・情報を活用して安全運航を実現する考え方です。操縦技量(テクニカルスキル)だけではヒューマンエラーを完全になくすことはできないため、これに対処するために有効な概念とされます。
QTEMとは何ですか?
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Threat and Error Management の略です。「スレット(エラーを誘発する要因:気象変化・疲労・機材不具合等)」の発生状況を早期に把握・管理し、万一エラーやUAS(Undesired Aircraft State:望ましくない航空機の状態)に至っても事故等に至らないように適切に対処する手法です。
QCRMの5つのスキルは?
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①状況認識、②意思決定、③ワークロード管理、④チームワーク、⑤コミュニケーション の5つです。これらはノンテクニカルスキルとも呼ばれ、TEMを効果的に実践するための能力です。
Q補助者の主な役割は?
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操縦者は機体の動きや操縦に集中する必要があるため、飛行準備や飛行経路の安全管理、第三者の立入管理などは補助者が主として行います。離着陸場所や飛行経路周辺の地上・空域の安全確認、飛行前の事前確認で明らかになった障害物等の対処、危険予知の警告、緊急着陸地点への誘導、着陸後の機体回収や安全点検の補助を行います。
Q疲労時にどう対応すべきですか?
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操縦者は疲労を感じても飛行を継続してしまう傾向にあるため、適切に飛行時間を管理する必要があります。高いストレスを抱えている状態は安全な飛行を妨げる要因となるため、操縦者との適切なコミュニケーションを運航計画に組み込むなどストレス軽減を図ります。前夜の飲酒は翌日の操縦時までアルコールの影響を受けている可能性があるため、アルコール検知器の活用も有用です。
関連する問題を解いて定着させる
読むだけでなく、教則準拠の問題を解くと知識が試験で使える形で身につきます。
✏️学科試験の問題を解く関連する解説
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。