論点解説

無人航空機と有人航空機の関係|VFR・IFRと回避義務

ドローンの空域は、無人航空機だけでなく有人航空機も利用しています。学科試験では、有人航空機を見つけた場合の回避義務だけでなく、150m以下でも有人航空機が飛ぶこと、VFRとIFRの違い、航空情報の確認、管制空域や制限表面の基礎まで問われます。

有人航空機を確認した場合の原則

教則は、空域が無人航空機だけでなく航空機も利用していることを前提に、無人航空機操縦者へ明確な回避義務を課しています。

飛行中に航行中の航空機を確認した場合には、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることが求められます。

根拠:教則 3.1.1(3)1)

150m以下でも有人航空機は飛ぶ

無人航空機の試験では「150m以下なら有人航空機は来ない」と誤解しないことが重要です。離着陸に伴う飛行のほか、例外的に低高度で飛ぶ航空機があります。

  • 捜索又は救助を行う航空機
  • ドクターヘリ
  • 低空飛行の許可を受けた航空機

したがって、低高度空域でも常に有人航空機との遭遇を想定しておく必要があります。

根拠:教則 3.1.1(3)3) 航空機の飛行高度

航空機側の見張り義務と、無人航空機側が注意すべき理由

有人航空機の操縦者にも見張り義務はありますが、それだけに頼ることはできません。

航空機の飛行速度や無人航空機の大きさを考えると、有人航空機側から無人航空機を視認し回避することは困難です。無人航空機側が注意深く監視し、回避措置を取る必要があります。

根拠:教則 3.1.1(3)4) 航空機の操縦者による見張り義務

VFRとIFRの違い

有人航空機の飛行方式の違いを示すイラスト。IFR(計器飛行方式)は航空管制官の指示に従って飛行する旅客機など、VFR(有視界飛行方式)はパイロットが目視で障害物を避けながら飛行するセスナやヘリコプターなど
図:IFR(計器飛行方式)とVFR(有視界飛行方式)の違い

VFR(有視界飛行方式)

操縦者の判断に基づき、外の視界を利用しながら飛行する方式です。

IFR(計器飛行方式)

航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う方式です。視界ではなく計器と管制を前提に飛行します。

根拠:教則 3.1.1(3)2)

出発前の航空情報確認

航空機の機長は、出発前に国土交通大臣から提供される航空情報を確認することが義務付けられています。

無人航空機操縦者も、周辺空域でどのような運航があり得るかを把握する観点から、空域情報や関係情報を事前に確認しておくべきです。

根拠:教則 3.1.1(3)5) 出発前の航空情報の確認

管制空域の基礎

国は航空交通の安全及び秩序を確保するため、航空交通管制業務を実施する区域(管制区域)を設定しています。代表的な区分は次の2つです。

航空交通管制区

地表又は水面から200メートル以上の高さの空域のうち国が指定した空域です。この空域を計器飛行方式(IFR)で飛行する航空機は航空交通管制機関と常時連絡を取り、飛行の方法等についての指示に従う必要があります。

航空交通管制圏

航空機の離着陸が頻繁に実施される空港等およびその周辺の空域です。この空域を飛行する全ての航空機が航空交通管制機関と連絡を取り、飛行の方法や離着陸の順序等の指示に従って飛行します。

根拠:教則 3.1.1(3)6)a. 航空機の管制区域

空港の制限表面

航空機が安全に離着陸するためには、空港周辺の一定の空間を障害物がない状態にしておく必要があります。このため航空法では、次のような制限表面が設定されています。

全ての空港に設定される3表面

全ての空港に設定される制限表面(進入表面・水平表面・転移表面)の配置と寸法を示した立体イラスト。滑走路長3000mの空港の例
図:全ての空港に設定される制限表面(進入表面/水平表面/転移表面)の例

進入表面

進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面。

水平表面

空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面。

転移表面

進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面。

主要空港・政令空港で追加される3表面

東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港および政令空港で追加される制限表面(円錐表面・延長進入表面・外側水平表面)の配置と寸法を示した立体イラスト
図:主要空港・政令空港で追加される制限表面(円錐表面/延長進入表面/外側水平表面)の例
対象空港:東京(羽田)・成田・中部・関西国際空港、および政令空港(釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇)。航空機が頻繁に離着陸するため、上記3表面に加えて次の3表面が設定されます。

円錐表面

大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の、空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面。

延長進入表面

精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面。

外側水平表面

航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面。

根拠:教則 3.1.1(3)6)b. 空港の制限表面の概要

試験での整理ポイント

論点押さえる点
有人航空機を見た場合地上に降下させることその他適当な方法を講じる
150m以下の空域離着陸以外にも捜索救助機・ドクターヘリ・低空飛行許可機が飛ぶ
VFR / IFRVFRは操縦者判断、IFRは管制指示に常時従う
制限表面(全空港)進入表面・水平表面・転移表面の3つ
制限表面(追加)主要4空港+政令空港では円錐・延長進入・外側水平が追加

よくある質問

Q

飛行中にヘリコプターや飛行機を見つけたらどうすればよいですか?

教則では、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることが求められています。直ちに回避行動を取る必要があります。

Q

150m以下なら有人航空機は飛んでいないと考えてよいですか?

そのようには言えません。捜索・救助を行う航空機、ドクターヘリ、低空飛行の許可を受けた航空機などは、離着陸に限らず150m以下で飛行している場合があります。

Q

VFRとIFRは何が違いますか?

VFRは操縦者の判断に基づいて行う有視界飛行方式、IFRは航空交通管制機関が与える指示等に常時従って行う計器飛行方式です。

Q

飛行前に航空情報を確認するのはなぜですか?

航空機の機長には出発前の航空情報確認が義務付けられており、無人航空機操縦者も周辺空域にどのような航空機運航があり得るかを理解することで衝突回避につなげる必要があります。

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出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和7年2月1日第4版)」を根拠に記述しています。最新・正確な情報は同教則および公式サイトをご確認ください。